「通信制高校に進学すると人生終わりなんじゃ……」と不安に思う方は、少なくはないようですね。その不安は、通信制高校に対する漠然としたイメージからくるものだと思います。今回の記事では、「通信制高校に通うと本当に人生が終わるのか?」という観点から、通信制高校が持たれがちなイメージや実情について「ぶっちゃけ」解説をしていきます。

「通信制高校=普通じゃない」?

通信制高校が持たれがちなマイナスイメージについて、いくつか具体的に挙げてみましょう。

  • 普通はみんな高校は全日制高校にいくもの。通信制高校という特殊な進路をとると、人生の(一般的な「成功」の)レールから外れてしまう
  • 通信制高校でしっかり勉強できるイメージがない。高卒で就職になり、そうなるとろくな仕事に就けずに人生詰む、、、
  • 通信制高校に通う学生は普通の高校に通えなかった人たち。ヤンキーとか不登校だった人とか、「落ちこぼれ」が多そう……

「通信制高校=人生終わり」と思ってしまう要因をまとめるとすると、「通信制高校=普通じゃない」というイメージによるものではないでしょうか。「普通の進路選択=全日制高校」。そんな考えがあなたの中にあるのだと思います。普通じゃないから成功のレールから外れる、普通じゃない同級生たちと普通じゃない授業を受ける……。

さて、本当に、通信制高校はそこまで「普通じゃない」のでしょうか?

実は一般的になりつつある通信制高校

文部科学省が2021年に出した『高等学校通信教育の現状について』によると、全日制高校ならびに定時制高校の数は平成18年ごろから減少し続けているのに対し、通信制高校、特に私立の通信制高校は平成7年ごろから急増していることがわかります。

文部科学省(2021)『高等学校通信教育の現状について』をもとに作成

学校の数が増えているのですから、生徒の数もそれに伴って増加しています。

文部科学省(2021)『高等学校通信教育の現状について』をもとに作成

グラフの縦軸が違うので、もちろん現状の数としては全日制高校の方が通信制高校より圧倒的に多いわけですが、それでもこの増加傾向はまだまだ続くと考えられ、これは社会的に通信制高校の需要が高まっていることを意味しています。

「なぜ通信制高校の需要が高まっているのか?」については、後に解説するとして、次に通信制高校では本当に「成功のレール」から外れるのか?について見ていきましょう。

案外高い通信制高校の大学進学率

「成功のレール」というものが「大学進学」なのかはそもそも議論の余地がありますが、大学全入時代などと言われている今日、高卒と大卒では就ける職業や給与に違いがあるのが現実です。(かつて大学を中退した知人とハローワークに行ったことがありますが、まったく同じ会社のまったく同じ仕事であるのに、高卒か大卒かで給与に差があることを知りさすがに驚きました……。)

さて、通信制高校では大学進学はできないのか?と言うと、そんなことはありません。こちらも『高等学校通信教育の現状について』によると、私立の通信制高校の大学進学率は、全日制高校に次いで高い値となっていることがわかります。

文部科学省(2021)『高等学校通信教育の現状について』をもとに作成

たしかに全日制高校に比べると低くはありますが、通信制高校の社会的な需要が高まっている今、大学進学率も今後はさらに上がっていくと考えられます。

通信制高校からの大学進学について詳しく知りたい方はこちら

なぜ通信制高校の需要は高まっている?

さて、そもそもなぜ通信制高校の需要は高まっているのかという話ですが、端的に申し上げると、「多様な個性と能力を持った子どもを育てることが求められてきている」からです。

今の時代は「VUCAの時代」

少しだけ小難しい話になりますが、今は「VUCAの時代」などと言われています。VUCAの時代とは、「絶えず変動し、不確実で複雑で曖昧な時代」という意味です。将来を予測することができず、これからの時代の子どもたちは今はまだない仕事に就いていくと考えられています。

あまりイメージが湧かないかもしれないので、具体的なことを考えてみましょう。

たとえばコロナの感染拡大がこれほどまでに社会を・世界を変えてしまうなど、誰も予想できなかったですよね。コロナがなければ、「リモートワーク」なるものが広がることはもっとずっと後の話だったでしょう。

たとえば、YouTuber。わたしが高校生だったころ、まさかYouTuberなんて仕事が生まれるとは思いもしませんでした。動画メディアがこれほどまでに普及した今、YouTuberも一つの立派な仕事です。

たとえば、AIの普及。一例を挙げると、「DeepL」という無料で使える機械翻訳ツールが、最近PDLファイルの翻訳機能を実装しました。つまり、英語の難しい論文なども、この機能を用いることで簡単に日本語で読めてしまうわけです。わたしが高校生だったころはまだ、語学のスキルは絶対的に役に立つ、職に困らない能力だと考えられていました。今後自動翻訳の機能がどんどん発達していけば、翻訳や通訳の仕事は激減していくことになってしまうでしょう。

「あなたにしかない個性」が求められる時代

こんな予測できない時代で求められるのは、時代の変化に合わせて柔軟に考え、独自の個性を生かしていける能力を育んだ子どもたちです。はっきり言ってしまうと、「普通」に与えられた仕事をこなすだけの人間が求められる時代ではなくなりました。

「個性」が求められる時代はすでに始まっています。個人的な話ですが、大学に入り、就職活動を意識し始めたときは、本当に驚いたものです。「あなたの個性は?」「あなたにしかない強みは?」、高校までは「普通」の高校で、校則に縛られながら「普通であること」「前ならえすること」を求められてきたのに、大学に入ると急に「個性」を求められるわけです。そんなものないよ、そんなの教わってこなかったのに、と正直なところ思いました。

通信制高校で「自分らしさ」を育む

長くなりましたが、ここでやっと話は「通信制高校の需要の高まり」に戻ってきます。

通信制高校は、全日制高校と比べて自由な時間が圧倒的に多いことがメリットです。そんな時間を使って、自分の好きなことや得意なことに力を入れて取り組むことができます。また、高校によっては、プログラミングや美容など専門的なカリキュラムを持つ高校もあり、高校で学ぶ中で得意を伸ばしていくことも可能と言えます。

まとめると、これからの時代は「普通じゃない」子どもを育てるために、どんどん通信制高校のような自由な高校が「普通」になっていくのです。こんな風に言うとなんだか「普通」がよくわからなくなってしまう、不思議な話ですね。

「落ちこぼれ」?本当に?

たしかに、通信制高校には「普通の学校に馴染めなかった」と感じている生徒が多いのは事実です。ですが、そんな生徒はすべて「落ちこぼれ」なのでしょうか?

先に述べたように、多様な個性が求められる時代である以上、「テストの成績」だけがすべてではない社会になってきています。行動力がある子、創造性に富んだ子、コミュニケーション能力に長けた子、デジタル領域に詳しい子、さまざまな評価軸があり、そしてさまざまな伸び代を持つあらゆる子どもたちを、今となっては「落ちこぼれ」なんて言い切ることはできないと思います。

そして、通信制高校のサポート校教員であるわたしの目から見るに、通信制高校生は「普通の高校」の高校生と同様に、いろいろな生徒がいますよ。「普通の高校」でも同級生に合う子や合わない子がいるとは思いますが、通信制高校だって同じです。なんだかんだ友達はできるので、その点では安心してください。

とはいえ通信制高校ってそんな良いことばっかりじゃなくない?

いやはやおっしゃる通りです。通信制高校が良いとこ尽くしなのであれば、「通信制高校=人生終わり」なんてイメージはそもそも湧いてこないですよね。この特集記事のコンセプトは「ぶっちゃけ」なので、もちろん良くないこと、つまり通信制高校に通う懸念やデメリットについても解説します。

退学率が比較的高い

2016年度に出された『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』によると、2016年度の高校の中途退学率は、全日制高校で0.8%、通信制高校で5.5%と、通信制高校の方が5倍以上高い退学率となっています。5.5%と言われるとそれほど多くない気もするかもしれませんが、40人クラスで2人は退学すると考えると、たしかに少し多いようにも思うでしょう。

退学率の高さに影響している大きな要因は、日常的なサポートの薄さにあると考えられます。通信制高校は自学自習を基本としており、多くの学校で登校日数が非常に少ない分、たとえば学習面で困ってもなかなか教員に直接指導をしてもらえる機会がありません。また、体調や精神面でのサポートも、登校日数に比例して少なくなると言えます。

「大学受験のための勉強」はなかなかできない

大学進学率については高まりつつある一方で、通信制高校が提供している授業は大学受験を目標としていないこともまた事実です。

元々通信制高校は、仕事をしながら高校卒業資格を得たい人などを対象としてできた教育課程であるので、通信制高校のカリキュラム自体は高校卒業を目標としています。そのため、授業の内容は高校で学ぶべきごくごく基本的な内容にとどまり、大学受験対策には塾などを併用している学生も多いのが実情です。

「高校っぽさ」に欠ける

「華の高校生活!」のテンプレ的なイメージは、「制服を着て、(授業は退屈だったりするけれど)体育祭や文化祭のような楽しいこともあったりして、放課後は部活をがんばって、友達や恋人と楽しく下校して……」といった感じだと思います。本当に正直に申し上げると、ほとんどの通信制高校でそういった雰囲気は味わいづらいと言えます。

制服については設けているところもありますが、ほとんどの学校で任意購入であり、またそもそも通学機会も少ないため、「制服で登下校」は日常的ではありません。また、規模の非常に大きな通信制高校でない限り体育祭や文化祭のような機会はなかなかありません。さらに、中高生としてはがっかりする人も多いかと思いますが、「普通の高校」のように部活を活発に行なっている高校はかなり少ないです。通信過程が基本である以上、体育館や校庭を有していない高校も多く、特に「普通の」運動部を期待しているのであればかなり難しいでしょう。

通信制高校に通う懸念やデメリットについて詳しく知りたい方はこちら

通信制高校のデメリットを解消するのが「サポート校」

通信制高校を検討しているけれど、自分一人で学習などを進めなければならないことに不安を感じる、大学受験対策もしたい、「高校っぽさ」も一定以上ほしい、そんな人には「サポート校」の同時在籍がおすすめです。

「サポート校」という言葉を目にしたことがある人もそうでない人もいることかと思いますが、サポート校とは文字通り、通信制高校をサポートする学校です。通信制高校はいわゆる国に認められた「高校」ですが、サポート校は「高校」ではなく、サポート校に通うだけでは高校卒業資格は得られません。

「サポート校」はなぜ存在する?

2つの学校に同時に在籍する、ということはなかなかイメージがつきづらいかもしれません。ですがわざわざこのような学校があるというのは、それは当然、そこに需要があるからです。

繰り返しますが、通信制高校の最大のメリットは「自由」なことですが、「自由」は常に素晴らしいものかと言うと、そうとも言いきれない側面は大いにあります。いきなり「毎日学校に通わなくていい」日々が手に入ったとき、それでは毎日何をして過ごせばいいのか?自分一人で自分を律しつつ、計画を立てて学習に取り組めるのか?等、困ってしまう人は多いでしょう。

通信制高校のメリットを得つつも、一方で自分に合った高校生活も手に入れる。そのように個々人に合った学校生活を「カスタマイズ」できるオプションが「サポート校」である、そう考えればわかりやすいかもしれません。

もちろん「サポート校」に通うデメリットもある

通信制高校とサポート校に同時在籍する最大にして唯一の懸念は「学費」です。2つの学校に同時に在籍するわけですから、その分学費はかさむことになります。「普通の高校の学費の2倍になる」とまではいきませんが、おおむね「お高い私立高校」の学費と同程度と考えてもらってもさほど間違いでないでしょう。

ただ、家庭の状況によって国からの援助金が支給されたり、生徒の成績ややる気を鑑みて奨学金制度を設けているサポート校もありますので、通いたいと思えるサポート校を見つけたけれど学費について不安がある方は、直接相談なさってみてもいいでしょう。

一番大事なのは、自分が高校生活をどう過ごすか

最後に、元も子もない結論を言ってしまいますが、どんな高校に進学してもそれによって人生が終わるということはありませんし、逆にどんな高校でも、人生の「成功」が確約されるということはありません。大事なのは、通信制高校であれ全日制高校であれ、そこで自分がどのような高校生活を送るか、です。

たとえ全日制高校に通っていても、漫然と3年間を過ごしていれば何も得られるもののない高校生活になってしまいますし、通信制高校に通っていても、自分のやりたいことや目標をしっかり定めて努力することができれば、将来はいくらでも輝かしいものになるでしょう。

高校に入ること、もっと言えば大学に入ることさえも、人生を決定してしまう選択ではありません。ですが、それは人生を方向づけるものにはなるでしょう。自分が楽しく、やる気を持って高校生活を送れるためにはどのような環境が適しているのか、高校生活を「自分でつくっていく」という気持ちで、進路を考えてみてください。

自分の「好き」を見つけて究める、それが大学受験にも生きる。サポート校「Loohcs高等学院」

ルークス高等学院は、通信制高校である代々木高校のサポート校です。

ルークスでは、「好き」を見つけて究められる、そんな「自分らしさ」を作り上げながら、それを大学受験にも生かせるカリキュラムを用意しています。

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