本記事は、「進学校で落ちこぼれてしまったらどうするのか」というテーマのもと書かれています。読者の対象は、進学校でうまくいっていないお子さんをお持ちの方や、これから進学校入学を考えている方、そして現在落ちこぼれている方です。進学校の受験競争は、とてもしれつです。進学校での勝負は、合格後、すなわち入学してからはじまります。例えば、学内の選抜試験や、中間試験、外部模試といったものがそれです。そして、その競争は大学受験で「良い大学」に入るまで続きます。言い方は悪いですが、競争で負け落ちこぼれたら、どうなるのでしょう。進学校の中の狭い競争で勝ち抜くことがすべてなのでしょうか。この記事で推奨する方法は学校を変えることです。つまり受験競争に向かない人ははじめから別のコースを歩けばいいということです。環境を変えることは、決して「負け」ではありません。それがなぜなのか、一般論を交えてお話ししていきます。競争試験には二つある競争試験とは、他人と違わなければ合格できません。他人と違うためには二つの方法があります。①他人と同じやり方で他人を追い抜く方法同じ教室で、同じ課題、同じ授業をこなす。向いていない環境のやり方にあわせ続ける。②他人と違うやり方でやる方法親が、高い塾代を払って、他とは違う勉強法を取り入れる。①の競争が主流な環境から抜け出し、②の競争が主流な環境に方向をチェンジする。①のやり方と②のやり方の違いは、その人のオリジナリティの有無にあります。たいていは、みんなと違うやり方を恐れるので、一つの道で押しあいへしあいをしている。それぐらいなら、その道からはじきだされて、裏道を通ればよいのだ。ものごとになんでも、「王道はない」などと言って、「ただ一つの道」だけを強調したがるのは、だれかの陰謀だと思う。自分に合った自分だけの方法で進む、という手もある。とくにこのごろのように、だれもが同じような受験勉強をしているなかだと、十分に裏をかく余地がある。森毅【原因】なぜ落ちこぼれるのか進学校には、難関な入学試験があります。それに合格することは、学校が最低限求めるレベルをクリアすることです。ではなぜ落ちこぼれる学生が続出するのでしょうか。落ちこぼれる本人からしたら、理由はそれぞれあるでしょう。ここでは、主に原因とされている例をあげます。ー①周りについていけないことでの自己嫌悪進学校へ入学する学生は、それまで勉強で苦労することがなかった方が多いです。小学校や、中学では、周囲から頭がいいともてはやされます。しかし、入学すると、学業が自分とおなじもしくは、自分より優秀な人がたくさんいます。それまで自分を形づくっていたものは、学業が優秀だということです。これが周囲に埋もれることによって、自分を喪失してしまいます。ー②学校に合格して目標がなくなってしまったごくまれなことではありますが、中学受験のハードな勉強で燃え尽きてしまった子も見られます。中学校合格に向けて一生懸命勉強してきた分、合格という目標を達成したことで、勉強への意欲がなくなってしまうのです。いうならば、気持ちのエンジンが切れてしまった状態。エンジンがかからないまま、中学校生活を過ごしているうちに、勉強のペースについていけなくなるということもあります。ー③勉強以外にも熱中できるものがある中学校に入ると、部活動が始まります。もちろん、入るか入らないかは自由ですが、多くの中学生は部活動に加入します。運動部も文化部も、放課後の時間に始まり、夕方まで活動をおこないます。活動日数はさまざまですが、平日は毎日活動のある部もありますし、運動部の場合、土日や祝日に試合で出かけることもあります。そのため、勉強に使える時間は限られてしまいます。ほとんどの中学校では、定期テストの直前1週間は部活動を休みとしていますが、進学校のハイレベルな授業だとテストも難しくなるため、テスト前の1週間だけでは時間が足りないのです。このように、部活動が原因で勉強のペースについていけなくなることがあります。学校を辞めることは逃げることではないーー山の登り方は人それぞれ人の行く裏に道あり花の山日本証券業協会:https://www.jsda.or.jp/jikan/proverb/contents/proverb03.htmlこれは株式投資の格言ではありますが、自分の行く末を考えるときにも有効な言葉です。一つの山道で押し合いへし合いするのを横目に、他の道を探してみる。そこには山桜が咲いているかもしれません。「学校を辞めて、別の学校に転入することはただの逃げだ」という考え方には、まだ再考の余地があるのでは。