“五月病?”…もしかして適応障害かも
4月は変化の時期。新しい学校やクラス、部活動など、生徒を取り巻く環境の変化がみられる季節です。その中で知らず知らずのうちに大小のストレスを抱えていた人が、ゴールデンウィークを境に学校に行けなくなってしまったり、不安を感じたりすることが多く、医学用語ではありませんが「五月病」と通称されたりしています。しかし、実はその症状は適応障害によるものかもしれません。
適応障害って何?うつとの違いは?
適応障害とは、身体の怠さや疲れやすさ、意欲が湧かない、悲観的な思考回路に陥ってしまう、よく眠れない、昼夜逆転、食欲が湧かないなどの症状を呈する、一過性の病気で、近年はこれが「五月病」の正体ではないか?と言われています。短期的に呈する場合は適応障害、中長期的に続く場合はうつと診断されることがあります。また、ストレス源から離れていれば安定する場合は適応障害、ストレス源から離れても不安定な場合はうつと診断されることもあります。
つまり、適応障害においてはストレス源…例えば学校や職場、もしくは特定の相手と接することが、発症や長引く原因の一つとなります。
ストレスを避けるためとはいえ、不登校や引きこもりなどと地続きになりやすいため、保護者の方は心配に感じられるでしょう。ご本人も強い無力感を感じやすく、もう自分はどうしようもない、部活や学校をやめたいとの訴えに繋がっていくこともあります。
五月病のチェックリスト
<五月病チェックリスト>
□ 新しいクラスに不満・違和感がある
□ 気軽に話せる友達がまだクラスにいない
□ 休み時間やお昼の時間は一人でいることが多い
□ 保健室に行く回数が増えた
□ 以前と比べて、朝、起きるのがつらい
□ “学校に通う意味”を最近よく考える
□ 学校へ行こうとすると、頭やお腹が痛くなる
これらの内容は適応障害やうつとも重なる部分があります。抜粋すると以下のようなものが挙げられます。
適応障害のチェックリスト
□ストレスを感じやすくなった 同じことを何度も言う
□疲れを感じやすい
□学校に行きたくない
□だまり込んでしまうことがある
□ゆううつになることがある
□イライラすることが多い
□頭が重いと感じることがある
□めまいを感じる
□肩がこる
□食欲があまりない
□たまに声が出なくなる
□周りの人とけんかをしてしまう
□緊張したらすごく汗をかく
□生活環境が変わると不安になる
うつのチェックリスト
□よく悲しいと感じる
□将来に失望している
□普通の人以上に失敗していると思う
□これまでのように楽しみを感じることができない
□悪いことをしたという気持ちを感じていることが多い
□自分自身に失望している
□自分の欠点や失敗に対して自分を責めるようになっている
□いつも以上に泣いている
□これまで以上にイライラしたり、悩んだりするようになっている
□これまでと比べて他人に対する興味が減ってきている
□これまで以上に決定を先に延ばすようになった
□何かをはじめるとき、普通以上に努力しなくてはならなくなっている
□いつものように睡眠がとれない
□普段よりも疲れやすい
□普段ほどの食欲はない
□ダイエットしなくても体重が減った
□痛み、胃のむかつき、便秘といった身体の問題があって心配している
適応障害・うつになりやすい人の特徴
適応障害は、真面目で責任感が強く、物事を神経質にとらえがちな人がなりやすい傾向にあります。うつになりやすい性格の特徴としては、まじめ・責任感が強い・完璧主義で・人からの評価も高く・道徳観も強い人などに多いと言われています。このように、両者が似通っていることがわかります。
しかしこれらはあくまで一般的な傾向ですので、これらに当てはまらなくても適応障害やうつの症状が出ることも珍しくありません。
適応障害・うつの傾向は適切なサポートで軽快する
心療内科にかかるかどうかは、症状の重さや期間によって緊急性が異なりますが、早期治療が早期回復につながるケースも多いので、一度受診してみても良いでしょう。1ヶ月以上にわたって症状が続いているようであれば、適応障害というよりうつと診断されるケースが多いため、病院で相談するのが良いでしょう。治療方針としては、ケースに応じての投薬もありますが、主に家庭での心理的なサポートが大切な資源となります。
適応障害、うつのいずれであっても、まずは、ストレスの原因から距離をとって心身を回復しながら、生活リズムを整えていくことが必要です。しかし、学校がストレスの原因となっている場合、学校を休んでいることに引け目を感じているとなかなか回復が難しいため、保護者がしっかりと理解を示し、心から休まるような環境を整えてあげる必要があることには注意が必要です。
一刻も早く学校へ戻って欲しいという保護者の焦りが本人に伝わってしまうと、それがプレッシャーとなり、症状が長引いていく一因ともなる可能性があります。本人の感じているつらさを受け止め、ゆったりと構えてあげることが大切になっていきます。
ご両親の立場だと、適応障害やうつが治るのか、心配に思われるかもしれません。身体的な怪我とは異なり、いわゆる「完治」という概念はありませんが、適切なサポートを続けていくことで段階的に軽快していきます。もし具体的なサポートについて関心があれば、「栄養面から不登校、そしてうつをサポートする」も参考になるかもしれません。
環境の変化などによるストレスを外的要因と捉えると、一方でその捉え方や感じ方の傾向のことを内的要因と呼ぶこともできます。五月病や適応障害・うつを呈する人は、ストレスに対する感じ方や受け取り方が過敏であることもあります。こういった思考の癖を「認知」と呼ぶことがあり、すでにある認知を、もう少し楽な考え方にシフトしていく手法として、認知行動療法などが挙げられます。これは、症状が軽快した後も、本人の考え方を楽な方向へと導いてくれるものなので、しばらく受けてみるのも良いかと思われます。
認知行動療法はカウンセリングなどの場で行われるものですが、まずはご家庭で、お子様が何をどのように捉え、どのくらいの苦しみを感じているのかをゆっくりとときほぐし、もし過剰な反応に思われる部分があれば、その不安に寄り添いつつも、もっと楽な考え方をしても良いということを態度や言葉で示してあげることもできます。
〇〇しなければならない、〇〇できなければ自分には価値がないというような、本人にとっては極めて切実な感情も、ご両親から見れば決してそう決めつける必要はないものもあるかと思います。高校生であれば、無遅刻無欠席でなければならないとか、決してテストで赤点をとってはいけない、成績上位を維持しなければならない、部活動で結果を残さなければならない、友達のことを嫌いになってはいけない、今いる学校で頑張り続けなければならない、逃げてはいけない…そういった大小様々な考えに囚われて苦しんでいることも少なくありません。
他の選択肢を提示したり、それらができなくても私たちは味方であるというメッセージを根気よく伝えてあげると良いでしょう。
転校という選択肢
ご両親の立場で、あるいはご本人の立場で、ぜひ心に留めておいていただきたいのは、転校という選択肢です。多くの高校生は高校受験を経て今の学校に通っているので、せっかく合格したのに…と、本人もご家族ももったいない気持ちになるかもしれませんが、一番大切なのはお子様の心身の健康であることは間違いないでしょう。今通っている学校の様々な要素が負担の原因となっているのであれば、別の学校を選び直すということは常に可能であることを、ぜひ念頭においていただきたいと思います。無理をし続けることで症状が悪化することも懸念しておかなくてはなりません。
5月というタイミングは、1年生であれば入学したばかりですし、2・3年生であればクラス替えしたばかり、という、見極めるには早すぎる時期のように感じられるかもしれません。しばらく学校をおやすみする中で、徐々に状況を把握し、他の学校という選択肢も含めてゆっくりと考えることは、本人にとっても「他の選択肢を選んでもいいんだ」と感じられ、プレッシャーから解放されることにも繋がります。
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参考
https://www.mentalclinic.com/disease_faq/p877/
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2021/024685.html
https://shingakunet.com/journal/trend/3920/
https://www.roppongi-clinic.jp/adjustment-disorder-check/
https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c2398/