現代社会は高度な情報化社会でもあります。インターネットは全世界を結び、スマートフォンは世界中で活用されています。このように情報技術は私たちの生活に欠かせないものとなっています。しかしながら、日頃使っているインターネットやスマートフォンがどのような仕組みで動いているのか、遊びに使っているアプリはなぜ作動するのかなどについてはよくわかりませんよね。情報化がますます進む中で、情報環境や情報社会がなぜ、そしてどのように成り立っているのかについての知識と情報とうまく付き合うためのリテラシーが求められています。

情報で何を学ぶべきなのか?

文部科学省は2022年より高等学校の指導要領を新しくすることを決定しています(いわゆる新指導要領)。私たちの社会は変化が激しく、不確実で不安定になりつつあります。このような時代はVUCAの時代などと呼ばれています。 VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の四つの英単語の頭文字をとった造語です。

指導要領の改訂にも関わった鹿野利春氏は、現行の指導要領の問題点として「約8割の生徒がプログラミングを含まない「社会と情報」を選択している」ことを挙げています。今後の社会のあり方を考えると、8割の生徒がプログラミングに触れない状況は時代に即していないと考え、文系・理系を問わず、すべての高校生がプログラミングに触れることができるように共通の必須科目として「情報Ⅰ」を新設したと述べています。さらに、学習を進めたい生徒は選択科目として「情報Ⅱ」を受講することになります。では、具体的な違いとはどのようなものなのでしょうか。

鹿野氏によると、「情報Ⅰ」の目的は、「既存のデバイスに新たにプログラミングを行うこと」ができるようになることで、「情報Ⅱ」の目的は「情報システム自体を設計」できるようになることです(出典:https://coeteco.jp/articles/11017#content_2)。

つまり、すべての高校生が目的達成の手段としてプログラミングができるようになることが最低限の目標だということですね。そして、さらに関心のある生徒は自分自身で情報環境を構築できるレベルまでの素養を身につけることが求めらているようです。

何を学んでいくの?

かなり、高度なことを要求しているように思いますが、実際はどのようなことを学んでいくのでしょうか。まだその全貌は見えているわけではありませんが、文部科学省の出している資料に基づいて紹介していきたいと思います。詳細な内容が気になる方はこちらもチェックしてみてください。

情報Ⅰ

「情報Ⅰ」では、「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピューターとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」の大きく分けて4つの項目を学んでいきます。

「情報社会の問題解決」では、情報や情報技術を活用した問題の発見・解決の方法を学んでいきます。今後は「スマートデバイス」をはじめとして、問題解決の現場に情報技術が使われるようになります。このような情報社会における問題解決のあり方について学んでいきます。

「コミュニケーションと情報デザイン」では、コミュニケーションメディアの特性を踏まえた上で、効果的な情報伝達のあり方について学んでいきます。情報が飽和気味の現代社会において、効果的にコミュニケーションをするためには、いかに情報をデザインするかが重要です。つまり、どのように情報ををまとめてると「わかりやすく」なるなるのかを学ぶのです。

「コンピューターとプログラミング」では、その名の通りコンピューターの仕組みとプログラミングについて学んでいきます。コンピューターは何でもできる万能ツールですが、コンピューターにある作業を実行させるのがプログラミングです。プログラミングを学ぶことによって、コンピューターに命令を与えることができるようになるのです。

「情報通信ネットワークとデータの活用」では、Wi-Fiや5Gなどの情報通信ネットワークやデータベースなどの情報システムの仕組みについて学んでいきます。AmazonやGoogleなどがおすすめの商品や情報をレコメンドできるのは、データを蓄積・管理・分析する技術があるからです。これからの時代は、大量のデータを管理して、分析することが必須のスキルとして要求されています。このスキルを獲得していきます。

情報Ⅱ

「情報Ⅱ」では、「情報社会の進展と情報技術」「コミュニケーションとコンテンツ」「情報とデータサイエンス」「情報システムとプログラミング」「情報と情報技術を活用した問題の発見・解決の探求」の大きく分けて5つの項目を学んでいきます。

「情報社会の進展と情報技術」では、情報技術発展の歴史を学ぶことで、将来の情報技術や情報社会のあり方についての考察をしていきます。情報技術の基礎的な理論は、19世紀から20世紀にかけて発展していきましたが、21世紀に入ると加速度的に情報技術は変化していきました。このような情報技術の発展を理解することで、これからの情報技術のあり方について構想していきます。

「コミュニケーションとコンテンツ」では、目的に応じて適切なコミュニケーションのあり方を考え、情報メディアを複数組み合わせて、より効果的に情報伝達をするスキルを学んでいきます。現代では、文字・音声・動画・写真などを単体で用いるのではなく、組み合わせることによって情報デザインがなされています。このような多面的に情報をデザインしたり、多面的に構成された情報デザインを評価する方法を学んでいきます。

「情報とデータサイエンス」では、「情報Ⅰ」よりもより実践的に大量のデータを収集・整理・分析する方法について学んでいきます。データ分析の仕事のほとんどは、情報の整理・整形にあると言われています。つまり、汚いデータを綺麗にする作業がほとんどだということです。このような、データを適切に処理・加工する技術があってはじめて、高度な統計的分析が可能になるのです。ここでは、そのようなデータの加工技術とデータの分析技術を学んでいきます。

「情報システムとプログラミング」では、「情報Ⅰ」で学んだよりも、より高度で効率的な情報システムの設計について学んでいきます。また、実際の情報システムの開発は個人ではなくチームプロジェクト単位で進んでいくものです。そして、情報システム開発においてもっとも重要なのはプロジェクトマネジメントと言っても過言ではありません。情報プロジェクトマネジメントのあり方を学びつつ、効率的な情報システム開発ができるようになることがこの分野の目標です。

「情報と情報技術を活用した問題の発見・解決の探求」は、これまで学んできたことのまとめの単元です。ここでは、これまで学んできた知識やスキルを深め、そして統合することで実践的な問題発見・問題解決ができるようになることが求められます。ここまで、学び切ることができた生徒は情報社会に積極的に関与し、あらたな情報価値を生み出すことができるようになっているでしょう。

どのように学べばいいのか?

情報という科目の「学び方」は未だに模索中といえるでしょう。ただ、1つ言えるのは実際に自分で情報技術に触れ、動かしてみるということでしょう。データーベースの作成やプログラミング、データの分析などに関しては無料で使えるアプリなどが多数あります。

データベースは、EXELGoogle Spreadsheetなどの表計算ソフトやNotionScrapboxなどの情報整理アプリなどで簡単に作成することができます。

データベースを作成した後は、そのデータを分析するツールとしてはPythonR言語などのプログラミング言語が有名です。また、アプリ開発やWEB開発をするなどをするにはJava ScriptRubyC#などのプログラミング言語などが有名です。自分が何をしたいのか、どのようなものをつくりたいのかによって適切なプログラミング言語を選ぶといいでしょう。プログラミング言語は、それぞれに表記法などのルールが設定されています。そのため、使いながら慣れていくという学び方がいいでしょう。

情報デザインについては、近年最もフリーソフトが発達している分野でもあります。canvaなどを使えば、誰でも簡単にポスターや写真加工ができます。整理したデータを見やすく表現するためにInfogramなどのツールを活用できます。また、プロジェクト管理ツールとしてAsanaTrelloなども有名です。他にも活用できるツールはたくさんあるので、実際に自分でいろいろなツールを用いてみて肌に合うのを選ぶのがいいでしょう。ただ、忘れてはならないのは「何のために使うか?」という目的です。目的に合わせて、適切なツールを選択できるようになるのもこれから必要なスキルです。

情報を通じて身に付く能力は?

情報という科目を学ぶことで身につく能力は、21世紀という情報技術の世紀へ参画するための基礎力ともいうことができます。AI・IoT・ディープラーニング・5G・DXなど情報技術に関する新しい概念が続々と生み出されています。情報技術に関する新しい概念はともすると、技術的に可能な範囲を超えて、「未来」を夢想させます。情報技術を正しく把握して、適切に活用することができる「情報リテラシー」は多くの人に求められていることです。まずは、このような情報リテラシーを身につけることで、情報社会を理解し、積極的に関与できるようになるでしょう。

次に、「情報創造能力」が身につくでしょう。情報-informationとは、もともと形-formationを与える-inということです。つまり、複数の事柄を結び合わせて、適切な形で表現することによって情報は生まれるのです。情報という科目で学ぶことを通じて、複数の事柄を整理し、そこに新たな意味を与えるという情報創造能力が身につくでしょう。そして、その力は人間のコミュニケーション力そのものとも言えます。つまり、情報創造能力は、将来エンジニアやプログラマーになりたい人だけに必要なものではなく、私たち全員に必要な能力とも言えるでしょう。


情報の他の記事を読む

他の科目の記事を読む

ルークスで学ぶ

オープンキャンパス

学生・教職員が企画するオープンキャンパスはこちらから

個別入学相談

入学に関するさまざまな疑問・お悩みをご相談ください

イベント/体験授業

特別授業の一般公開イベントは誰でもお気軽に申し込めます

入試案内

4月・9月入試に関する情報はこちらから

学校・学生達の雰囲気を体感してみませんか?

Loohcs高等学院について知りたい方へ

個別相談のご予約はこちら