暗記するのが苦手。勉強してもなかなか結果につながらない。成果が出ないから勉強が嫌いになった。勉強しなきゃいけないけど、モチベーションがわかない。勉強に取り組んだけれども、集中できない。そのような悩みを抱えている人は多いと思います。

勉強の方法や暗記の方法を少し変えるだけで、成果がでるようになるかもしれません。今回は、人間がどのように物事を記憶するのか、そしてどうしたらもっと効果的に覚えることができるようになるのかについて説明していきたいと思います。

単純反復ができるのは10歳まで?

まず、みなさんはどのようにして暗記に取り組んでいますか?覚えるまで何度も繰り返し書いたり、何回も教科書を読み直したりしていますか?そのような暗記の仕方はあまりいいものとは言えないかもしれません。もちろん、同じことを繰り返す反復学習には効果があることはわかっています。しかし、単純反復ってつまらないし、すぐに飽きてしまいますよね?実は単純反復に積極的に取り組めるのは10歳前後までだと言われています(出典:市川伸一(2013)『勉強法の科学』岩波科学ライブラリー)。

確かに、子どもと遊ぶと「もう一回やって」とを繰り返したりしますよね。子どもは同じことを繰り返し行っても、あまり飽きずに続けることができるのです。それに対して、10歳前後から物事の「意味」を求めるようになってきます。10歳前後の子どもに対して「やめなさい」といっても、「どうして?」「なんで?」と意味を問うようになってくることを経験したことがある方も多いかと思います。このように、人間は10歳前後から単純な反復作業を飽きるようになり、「意味」を見出せたものに対して頑張ることができるようになるのです。

「勉強をする意味」「仕事をする意味」「生きる意味」、これらは人生のどの段階においても付き纏ってくる永遠の謎ですが、それらの意味が見いだせないとわたしたちの頭にも身体にも重要なことが刻み込まれていかなくなっていくのでしょうね。そして、物事が覚えられないという場合の多くは、意味を見出せていない、ただただ文字列を覚えようとしている時のことが多いように思います。例えば、一問一答の教材などを使っている時などは、文字列を覚えることに関心がいったりします。その結果、一問一答はできても、文章題の形式で出題された時や論述問題はできないということになります。

もちろん単純暗記が得意な人もいますし、覚えることそれ自体に意味や快感を見出せる人もいることは事実ですが、そのような人は少数派でしょう。では、実際にどのようにすれば長くうまく覚えることができるのでしょうか。

短期記憶と長期記憶

人間の記憶は長期記憶と短期記憶の二つに分類できると考えられています。何か印象に残ることが起こったり、意識的に何かを覚えようとした時はまず短期記憶として蓄積されます。例えば、電話番号を覚えるなどは短期記憶として保存されます。短期記憶の中でも、特に印象の強かったものや何回も繰り返し短期記憶に保存されたもの、重要だと判断されたものなどは長期記憶として保存されます。短期記憶の容量は少なく、すぐに忘れされてしまいますが、長期記憶の容量は膨大であり、かつ半永続的に記憶の中に蓄積します。おじいさん・おばあさんになっても、若かった頃の思い出を鮮明に語ることができるのは、その思い出が長期記憶として保存されているからです。

新しくものを覚えようとするときは、短期記憶の問題になるので、短期記憶を効果的に活用する方法を知っている必要があるのです。そして、短期記憶をより長期記憶として蓄積していく方法も同時に理解することが重要です。短期記憶は、最大で7つの情報の束を覚えるので精一杯と言われています。ここで注目すべきは「情報の束」(専門的にはチャンク)という考え方です。

具体的な事例を紹介しましょう。「さめ」「コーヒー」「ワンピース」「キリン」「レモネード」「ワイン」「コルセット」の7つの単語を覚えてくださいと言われたときに、普通に覚えているだけでは7つの単語を覚えるだけで精一杯だと思います。しかしここで、「情報の束」という考えが役に立つのです。よくよくみてみると、この7つの単語をある共通点を使って分類することができるのです。「さめ」「きりん」は動物、「コーヒー」「レモネード」「ワイン」は飲み物、「ワンピース」「コルセット」は衣服というように分類できます。そのことで、情報量としては3つの束に圧縮できるのです。3つの束に圧縮できたら、動物は2単語・飲み物は3単語・衣服は2単語覚えるだけで済みます。このように覚える際に、分類を考えながら情報量を圧縮することによって、記憶できる物事の容量は格段に増えるのです。

人間はバラバラに覚えるよりも、このように情報の束で覚えるほうが格段に得意なのです。記憶することが得意な人はこのように情報を分類して、整理しながら覚えているのです。詳細な記憶術に関しては、また別の記事で紹介しますが、ポイントは「情報をまとめること」です。そして、情報をまとめることはすなわち「意味付ける」作業でもあるのです。そう、人間は意味を求める生き物なので、意味づけをしながら覚えることが記憶のコツなのです。そして、一度意味を理解して記憶された事柄は長期記憶としても残りやすいのです。日常の些細な出来事よりも、「初めて何かをした日」の方が記憶に残りやすいのも、その分だけ意味づけがなされているからなのです。

急がば回れ——暗記よりも意味を理解すること

意味を理解することはとても頭も時間も使うので、多くの人が「とりあえず暗記しておけばいい」と思ってしまいがちです。しかし、闇雲に暗記することはとても効率も悪いですし、モチベーションも続きません。むしろ、勉強しているときには情報をまとめ、情報のまとまりに意味を見出し、その上で何度も繰り返し、記憶に定着させるという作業が必要なのです。

例えば、日本史の勉強をしている時に人名や作品名、法律の名前をバラバラに覚えるよりも、平安中期は貴族の時代だということを念頭に入れながら、貴族の時代だから「藤原氏の名前がよく出てくる」「貴族風の文化が花ひらく」「貴族が権力を取るために婚姻政策を重視する」のように覚えていくことが重要です。

繰り返しになるますが、いかに情報をうまくまとめられるか、いかにまとめた情報に意味づけできるかがポイントです。その作業をうまくやるためには、自分自身に対して学んだことを物語風に説明したり、友達や親に学んだことを説明してみることも試してもいいでしょう。人間は文字よりも音声の方が情報処理としては得意なようなので、音声にして説明するという営みも積極的に勉強する際に取り入れていってもいいでしょう。勉強法について、紹介するだけで第一回目の企画はこの程度にして、今後は具体的な方法などについて、定期的にシェアしていければと思います。


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